企業情報

"もったいない"スペースと時間が蘇る「軒先.com」

会社名 軒先株式会社 
ホームページ "もったいない"スペースをシェアするスペースの検索・予約-「軒先.com」 
住所 〒158-0083 東京都世田谷区奥沢5-23-22-201 
電話番号 03-6670-0434 
代表者名 西浦 明子 
設立 2008年4月8日 
従業員数 2人 
事業内容 ◆空きスペースマッチングサイト「軒先.com」運営
・軒先の空きスペース、駐車場、テナントを時間・日・週単位貸しするサービスです。 
今後の事業展開
ビジョン
◆不動産会社さまなどと提携し、より多くの空きスペースを確保していきたいと考えています。 
取引希望企業 ◆定休日や休業時間帯に、自社スペースを活用したい店主さま、テナントさま
◆次のテナントさまが決まるまでの一時期だけ、空室をランニングしたい不動産会社さま
◆使っていない駐車場をお持ちの、個人さま
◆狭小スペースからビジネスをはじめたいとお考えの事業主さま 

代表取締役社長 西浦 明子 

エージェントレポート
西浦社長は、3才のお子さんを持つ母親だそう。出産を経験してから起業をはじめた、という勇気と決断力に非常に興味を持ちました。しかし、よくお話を伺うと「決断」というより、ご主人のバックアップの基スムーズにはじめることができたとか。肩に力をいれすぎない、21世紀型の女性起業家のモデルケースの1つなのではないでしょうか。

(取材者:石川 香苗子) 

経営者インタビュー

軒先を貸し出す、考えてもみませんでした! 新しいビジネスですね
はい。
商店街にある店舗の定休日や閉店時間、商業ビルの長期テナントが決まるまでの空き期間、
土地に買い手がつくまでの待ち時間。
そんな"空きスペース"と"空き時間"(「デッドタイム」と名づけました)を取りまとめて
貸し出しする「空きスペースのマッチング事業」を行っています。
スペースの一時利用なので敷金礼金は必要ありません。
個人事業主の方でもすぐに商売を始めることが可能です。

今では、移動販売車を運営されている方にご利用くださるケースが増えています。
オフィスの一角でランチを販売する移動販売車、たこ焼き屋さんなど、
開業資金は少なくてすむ、メニューも車もできた、あとは場所の確保だけ、という
お客さまに重宝いただいています。
移動販売車の場合、毎週何曜日と決めて定期的にスペースをご利用いただく
ケースが多くなっています。

他にはスーパーの駐車場にクレープ屋さん、
パチンコホールの駐車場の一角にお客さま向けの飲食販売車、
近隣にショッピングセンターやスーパーのない地域に出店する野菜の移動販売車といった
ご活用方法は特徴的ではないでしょうか。
お値段、格安だと感じたのですがどのようなビジネスモデルになっているのですか?
そうですね。
そもそもお金を生んでいなかった土地ですから手軽に使っていただける価格帯が多いです。
人気が出てくると高くなる場所もありますが、1日数千円単位から使えるスペースもあります。
貸主さんにとっては、投資ゼロで新たに利益を生み出すことができるという
大きなメリットがあります。
現在は、そのうち35%を手数料としていただくモデルを取っています。
1回の成約金額が小額なため数の積み上げで成り立っているビジネスといえます。

日経ビジネスやWall Street Journalなど各種メディアに取り上げられたこともあり
利用者の数はどんどん伸びています。2010年4月現在では、月間成約数200件を超えます。
このビジネスの発想のきっかけはなんだったのですか?
創業直前までは会社勤めを経て主婦だったんです。
会社勤務時代は、ポータブル音楽プレーヤーやゲーム機の商品企画・マーケティングをしていました。
インターネット系ベンチャーにも1年いました。
コスト管理を含めて様々なことを計画し、目標をたて、それを実行する、というベーシックな部分は
起業してからも役に立ったと思います。
2007年に出産したんですけど、妊娠したら会社勤務時代よりかなり時間ができた。
ですから、会社勤め時代の海外駐在経験とつてを活かして
雑貨を輸入する仕事をしようと思い立ちました。
出産後は自分のペースで仕事をしたいと考えていましたし。
しかし、いきなり大きなロットで仕入れたら、リスクが大きくなり販売価格が高くなってしまう。
だから、小ロットで試しながら販売していきたいと考えていました。
そこで小規模でテスト販売する"場所"を探しました。
インターネットでどんなキーワードで検索してもそんな情報はなく、困ったんです。

結局、週単位で借りれる週貸し店舗を都内で見つけたんですが、
2007年当時で賃料が21万円/週、84万円/月だったんです。
また、半年先まで予約がいっぱいでした。
もちろん、超短期で、敷金礼金不要で、23区内という好立地に店舗を出せるという
メリットを含めてのことだと思うのですが、それでも高い。

そこで仮説を立てました。

「借りたいニーズに対して供給が少なすぎるから、高い価格でも予約がいっぱいなのではないか」

と。実際、インターネット上にはどこを探しても情報はないのですが、
少し離れた商店街などの中にはポツポツと空き店舗を貸している店舗があることがわかりました。
また、おしゃれなショッピングモールにも空きスペースがあることに気づきました。
エスカレーターの下などにはデッドスペースがある。

「ここなら、テーブルとお店ののぼりさえあれば、私なら商売できるのに」

と思いました。
それに、このようなスペースに集客力のある小規模テナントが来たら
ショッピングモールにとっても集客効果につながるのではないかとも考えました。
他にも、オフィスビルなどで長期テナントが決まるまで空き時間ができている区画、
売却予定だけれど買い手がつくまでまだ時間がある土地、そんな「遊休地」があることにも気づきました。
このことを「デッドタイム」と名づけたのですが、「狭小地」+「デッドタイム」をうまく組み合わせて
貸し出すことができないか、そう考えたのです。
新しく事業を始めるにあたって、場所を借り上げるのはリスクがある、
しかし"貸しスペース"に関する情報は表に出にくい、けれどニーズはある。
そこで、空きスペース、デッドスペース、遊休地とデッドタイムを組み合わせて事業化することにしたのです。

なので、正直「絶対起業するぞ!」という想いではじめたわけではなく、
もともと起業していた主人に相談したところ「コストを極力かけないで、今すぐはじめた方がいい」と
背中を押してもらって、流れではじめたという感じでしょうか。
貸主さまのご理解を得るのが難しそうな気がするのですが…。
そうですね。利用者ニーズがあることはリサーチできていました。
デッドスペースを使いたいという声は多かった。
しかし、貸主さまを探すのに苦労しました。
土地を有効活用したいというニーズもあるし、投資もコストもリスクもゼロである。
貸主さまへのメリットは大きい。しかし、こういう形での活用方法があるということを知って
もらうことがなかなか難しくて。
なので、創業時にはさまざまなビジネスモデルのコンテストに参加し「1つでも賞に入ったら注目度があがる!」と
注目度を上げる努力をしました…「1つでも」と思っていたところ、結果「ベンチャーフェアJapan2009 最優秀賞」や
「ドリームゲート2009 革新的ビジネス大賞」など数多くの賞をいただくことができ、
少しずつ認知していただくことができました。
おかげでメディアにも数多く取り上げていただきました。今、世の中の人が気になるのは
「副業」「お小遣い稼ぎ」「もったいない」といったキーワード。
当社のビジネスはそういったみなさまの心の琴線に触れるのか、TVでもよく取り上げられ、
その集客力は目を見張るものがあります。
もちろん、直接営業も行っています。多くのオフィスビルやショッピングモールを持つ
大手不動産会社さまはもちろん、空き駐車場やスーパー、空き店舗などのオーナーさまにも直接営業を行っています。
幸い、主人が不動産会社を経営していたのでその経験を活かして今では軒先事業に専念し、
大手不動産会社に営業してくれています。
今、不動産業界も厳しい時代なので、少しでも収益増につながるなら、と
ビジネスモデルに共感してくださることが多いです。
私は、利用者さま対応、システム周り、広報などを主に担当しています。
妊娠して、小さなお子さまがいる中での創業、不安はありませんでしたか?
それが…ほとんどなかったんです。
店舗もオフィスもいらない、とにかくサイトを立ち上げて世の中に出してさえしまえばできる、
とにかくサイトを作って世に出したい、その一心でした。
主人の方が起業家精神が強いので、そのアドバイスは大きかったですね。
「とにかくすぐやった方がいい」と、後押ししてくれました。もちろん、子育てもかなり手伝ってくれますし、
公私共に協力してくれています。

起業して楽しいんですよ。
成功するだろう、という強い思い込みで、どんどん実現していく。
この事業をしないと出会えなかった人に出会えた。
いろんな業種業態の人とお会いできて「こんなビジネスがあったんだ」「こんな方がいるんだ」という
気づきが日々あって、学ばせていただいています。

今後は、まず日本全国へ軒先事業を広め、3年後には6,000スペース登録を目標にしています。
2010年は商店街、地方自治体や行政と協力して地域活性化のお役に立ちたいとも考えているところです。
長期的には、海外へも軒先事業を広めたい。
デッドスペースの数は無限大ですから、使いたいニーズも無限大だと思っています。

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