企業情報

工場を稼動しながら建て替え。人財活用で工場耐震に光

会社名 株式会社ヨシザワ建築構造設計 
ホームページ 工場建築・工場建替・耐震診断・耐震補強-「株式会社ヨシザワ建築構造設計」 
住所 〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町2-13-6MUTOH浜町ビル3F 
電話番号 03−5641−4430 
代表者名 吉澤 宏泰 
設立 1998年9月 
従業員数 40名 
事業内容 ◆工場建て替え、耐震補強、リニューアル、太陽光パネルをのせて耐震補強
◆3Dパース図制作、会社パンフレットなどコンテンツ制作 
今後の事業展開
ビジョン
ecoのせ耐震に力をいれていきたいと考えています。 
取引希望企業 ◆工場を稼動しながら建て替えや、耐震補強したい工場経営者さま
◆太陽光パネルを設置したい製造業経営者さま 

代表取締役 吉澤 宏泰 

エージェントレポート
吉澤社長とお話していると、この時代だからこそ「経営者は現場に口を出さず見守る」、この時代だからこそ「自社でコンテンツをつくり、自社の力で発信する」、この時代だからこそ「未経験の新人を積極的に採用し、じっくり育てる」そんな姿勢を感じます。多くの企業が「すぐに採算はとれない」とつい後回しにしてしまいがちな部分です。しかし、そのような姿勢が企業の底力を上げるのではないかと感じました。

(取材者:石川香苗子) 

経営者インタビュー

「構造建築設計」…というと耳慣れませんが、通常の建築との違いをお教えください。
「構造設計」という社名ですが、営業、設計、現場、自社でコンテンツ制作・発信とオールラウンドな業務を行っています。
建築業界で「設計」というと大きく3パターンあります。
1つは、「意匠設計」。これが全体の8割になりますが、いわゆるデザインですね。
次に「設備設計」。空調、電気など設備に関する設計です。これが全体の1割。
残る1割が当社のような「構造設計」でして、柱の太さ、基礎、骨組などを決める役割を
担っています。

お客さまは食品、機械、製造、化学など工場が9割以上です。
そして、全体の8割ほどが中小企業なので企業オーナーに直接営業をしにいきます。
もちろん、大手企業からもお仕事をちょうだいしています。
代表的な仕事ではブリヂストンの横浜工場、INAX、ロッテ、ホッピーなど各製造現場の工場を
建築・リニューアルしています。
中でも、貴社の特徴的な部分はどこでしょう?
大きく二つあります。
工場で行われている機械や装置の操業を止めず、リニューアル工事をしている点と
クリエイティブ事業部門を自社で持っていることだと考えます。

まず一つ目、工場の操業を止めずに工場の建て替え工事をする手法ですが
「かぶせ工法」と呼んでいます。既存の工場スレスレのところに新しい鉄骨をかぶせ、
工場を運転・操業しながらリニューアルを行います。
これは「構造設計」を行う当社だからできること。お客さまから
「工場を建て替えたいんだけど操業は止められないんだよね」
というお声をたくさんいただくように。そこで、建物の骨組みや形など
「構造部分」に関するノウハウを集約して「かぶせ工法」を開発したわけです。
柱の大きさ、地盤の強さ、どれぐらいの重さの機械を載せることができるかなど
地盤や建物の構造を知り尽くした「構造屋」だからこそできることです。
大きな工事は土日、お盆、GWなどに集中して行っていますし、平日の工事はお客さまの
作業を止めずに行うことが可能です。

もう一つは「クリエイティブ事業部」。
営業がお客さまへご提案する際や実際の建築で使うパース図、
外部へ発信するコンテンツをすべて創作しています。
お客さま向けフリーペーパー「Factorism」や新卒採用向けパンフレットの企画・編集・制作も
社内に人材をそろえ自社で産み出しています。
構造設計の会社でパースやクリエイティブ部門に力をいれている会社は他に類を見ません。
1〜2万通、お客さまへ発行している「Factorism」は特に評判が良く
リピート依頼につながったり、新規お客さまの開拓へ結びついたりするケースが増えました。
新卒採用においては、自社でパンフレット制作を行っているからこそ
リアルな仕事内容や社員の声に踏み込むことができ、採用成功につながっていると感じています。

今は仕事の7割がリピート依頼。しかし、企業ですからリピートに安寧してはなりません。
常にゼロから何かを産み出す力が必要だと考えています。
中小企業としてはパワーもコストもかかる新卒採用に力をいれていらっしゃいますね?
はい。新卒採用はもう7年もやっています。
毎年2〜4人の新入社員の採用に成功しています。

はじめは会社の軸を定め、専門学校へ何回も足を運び、頼みに行くところからはじめました。
4年ぐらいしてから軌道に乗ってきました。
当初は私が専門学校も回り、セミナーも開き、面接官をして…となんでも抱え込んで
てんてこまい。
その時気づいたのは「私を追い越す人材を作ること」「私が手を離していくこと」なんです。
今でもなかなか手を離す勇気が出ませんが、ようやく少しずつ勇気が出て
現場に任せることができるようになってきた。現場は「社長に判断してほしい」って
思っているかもしれませんが、勇気を出して(笑)極力任せるようにしています。
それでも、つい口を出してしまいますけど。

採用も2年間はコンサルティング会社にサポートしていただきましたが、
ノウハウを吸収して自社で手がけるように。
今では2人の採用枠に100人以上応募者が集まるようになりました。
貴社は社長が創業されたのですか?
いえ、私の父が建築設計会社を作ったのが始まりです。
横浜のランドマークタワーに感動して、大手のゼネコンに就職したんです。
けれど、高層建築部門に配属にならなくてねぇ…。
学生時代は毎週のように建築中のランドマークを見に行ったものです。
ゼネコン時代は意匠、設備もトータルに設計を手がけていた。
その後、実家の家業に戻って経理、総務、現場監督となんでもやったことが今につながって
いると思います。

12年前に父から会社をのれん分けしてもらった時、工場建築部門を私が継いで
今の会社にしたんです。
今後力をいれていきたいのはどんな分野ですか?
「ecoのせ耐震」ですね。

リーマンショック後、お客さまは設備投資を控えるようになりました。
その分、建て替えずに今の工場を補強して長く使おうという動きが活発になりました。
自動車業界で新車需要が少なくなり、中古車ディーラーや修理工場の需要が増えたことと
似た現象です。
そこへeco需要。2010年度からは省エネ法改正で電力削減目標が必達になります。
なので、工場の耐震補強を行いながら、太陽光発電をサポートするのが「ecoのせ耐震」。
太陽光パネルを設置しても耐震補強万全なだけの補強を施す次世代型の工場耐震建築方法です。
今、経営に際して心がけていることをお教えください。
マンパワーが命、ということです。
建築とは、まだ見ない架空のものに契約してもらうことです。広報も、営業も、クリエイティブも。
すべてマンパワーであり、人の力。ですから、人の力をもっとも大切にしたいのです。
創業してから数年は、一戸建て、倉庫、店舗、マンションと何でも作っていたんです。
社員の入れ替わりも激しく、事業の軸も定まらなかった…。
それではダメだと企業理念や経営方針をはっきりさせ、
全ての社員に浸透させることに集中しました。
人材は財産です。決算書には数字として出てこない貴重な会社の財産。
「同根異才」を大切にするようになりました。
根を同じにして、バラバラだった想いをひとつにする。
そして、集まる多種多様な才能に任せて活かす。
今までは全部自分で把握しておきたかったんです。
けれど、極力自分の手を離して軽くする。私を追い越す人材を育てる。
吸収の早い人に入ってもらう。
すると、会社が強くなって私自身がすごく、嬉しい。
でも、会社の理念や方針など「根」の部分は30%、残りの70%は「才」が作ると考えて
いるんです。才能が自由に生かせる会社にしなくちゃ、強い組織は生まれない。

これは、建築にとても似ています。軽ければ軽いほど、耐震に強い。
私の手から離れれば離れて軽くなるほど、企業は強くなる。
判断軸や指標は社員を信じていますが、リスクを犯してでも育てたい部分なんです。
社員は、これから色々なケースの難問に遭遇します。
その時に「うちの社長だったらどう考えるだろうな、判断するだろうな」
とぃう判断軸を、社員1人1人に植えつけることが重要だと思っています。
「社長が面接しなくても」いい人材が入ってきた、
「社長が営業しなくても」大きい受注が入った、こんなことが当社で起こるようになって
単純に"すごいな!"と思ったんです。
ヒヤヒヤしながら心配して、見守っています。

この企業と取引したい(この企業のホームページへリンク)