企業情報

新宿から世界へ―新プロダクトで染め文化のパリ上陸を目指す

会社名 株式会社二葉 
ホームページ 江戸小紋、江戸更紗など染色再生プロジェクトを始動-「染の里 二葉苑」 
住所 〒161-0034 東京都新宿区上落合2−3−6
*「染の里 二葉苑」という見学できる染工房と、カフェが併設されています。
*新宿区より"ミニ博物館"の認定を受けています。 
電話番号 03-3368-8133 
代表者名 小林 元文 
設立 創業:1919年(大正9年) 
従業員数 18人 
事業内容 ■江戸小紋、江戸更紗、東京友禅、東京紅型など江戸古来から伝わる染色技術を今日まで伝承しています。
■新宿区ミニ博物館認定「染の里 二葉苑」(染色現場を見て、体験することのできる工房及びカフェ・ギャラリーを併設)の運営 
今後の事業展開
ビジョン
■染色をきもの以外のファッションアイテムへ取り入れるべく動いていきたいと考えています。 
取引希望企業 ■ファッションブランド、インテリア、デザイン、内装関連の企業さま
■染物と現代プロダクツの融合をお考えの企業さま 

代表取締役 小林 元文 

エージェントレポート
到着してみてびっくり。工房はすべてガラス張りで、美術館のような趣き。外からも染色作業風景を眺めることができるのです。素敵な門をくぐると、TVのスクリーンで染色の歴史が放映されていたり、小紋や更紗の小物が置かれた和カフェが併設されていたり。若い世代の私たちにも染色を楽しめる仕掛けがたくさん。2010年以降の新たなアイテムの発表が楽しみです。

(取材者:石川 香苗子) 

経営者インタビュー

素敵な工房とギャラりーですね! 最近新しくされたのですか?
2008年6月に新設し、今のガラス張りの工房とギャラリーをオープンしました。
その背景としては以前の工場の老朽化ももちろんありましたが、
一番大きなきっかけは、ここ10年ぐらいの「和ブーム」「職人ブーム」に伴い
当社の手がける染物への関心の高まりをひしひしと感じたこと。
当社が得意とする染めの技法は、江戸小紋(経済産業大臣指定伝統工芸品)江戸更紗(東京都認定伝統工芸品)
5年ほど前から本格的な和ブームが始まり、若い世代にも染色を身近に感じてもらおう
とギャラリーをフルリニューアルすることにしたのです。

このギャラリーは世の中に対する提案でもあります。
きもので使われることが中心だった染色ですが
灯り、テーブルクロス、インテリア、チェアなどにも使えるという
新しい染色のあり方を皆さまへ知っていただく提案をしているつもりです。
すると、お客さん層も変わったのでは?
そうですね。
江戸小紋、江戸更紗という染色技法は、きものの生地を染めるためのものですから
今までのお客さまはきもの業界、染色業界など業界関係者が中心でした。
しかし、ギャラリーをオープンしてから
小学生、修学旅行生、海外の方、趣味で染色をやっている方、きもの好きのグループなど
年齢・性別を問わず訪れてくれるようになりました。

染色のメッカ、新宿区ですが今までは意外と地元の方々にも知られていなかった。
しかし、今はふらりと散歩に訪れた地元の方にも知っていただけるようになり、
間口は広くなったと思います。
また、ジャンルを問わず幅広い業種の方が来てくださるようになったことも
新しい化学反応です。
デザイン、ファッション、インテリア関係の方々も来てくださり、
ここから新しいアイテムが生まれています。
このギャラリーから生まれた新たな染色アイテムはありますか?
箸置きや、コースター、ホテルにおさめるアイテムなど
小紋や更紗で染めた布を使ったアイテムを数多く産み出してきました。
特に、2010-2011年力をいれているアイテムは、スカーフ・ストール。
パリのファッション見本市への出展を目指しています。

パリ在住で、ヨーロッパのブランド向けにデザインしてきたスカーフ専門の
日本人デザイナーとの人脈を得ることができ、大きく飛躍できました。
絹、麻、綿などさまざまな生地のスカーフを展開していく予定です。
男女共にターゲットとし、様々な年齢層にご利用いただけるよう
幅広い価格展開を検討しています。最終地点はスカーフ専門のアンテナショップ。
当社は工房にてオーダーメイドを受け付けることができます。
ですから、柄、生地、色などこだわり派の方に向けてオリジナルスカーフを
"あつらえる"(きもの業界でオーダーメイドのことを特にこう呼ぶ)ことが可能です。
きもの業界にとどまらず、他業種へ踏み出したきっかけはなんですか?
やはり、業界全体が縮小していることが大きいですね。
昔は"糸"がつくものは製造業の中心だった。
しかし、今は業界全体のパイが縮小し、お客さまの取り合いになっている。
もっと業界全体で助け合わないと、業界そのものがダメになってしまいます。
当社が業界を代表して外へと目を向けることで、むしろ業界全体に貢献できると
考えたのです。
"染屋"であって、"きもの屋"ではないことの自由さもありました。

業界全体を包む強烈な危機感が私を突き動かしたと言えます。
社長は4代目ですね。継ぐことに抵抗はありませんでしたか。
かなり、ありました(笑)。
家業が「染物屋」ということはわかっていましたが、
周りにきものを着ている人が少ないこともわかっていた。
新宿は染物が栄えた地域ですから、小学校の同級生に染物屋の息子も多かったです。
しかし、どうにも廃れそうで継ぐ気になれませんでした。

ですから、家業を継ぐ前は旅行代理店で添乗員として勤務し、
海外と日本を行き来する仕事をしていました。
不思議な話なんですけど、私の顔立ちが少し中近東系なんですね。
それで中近東やインド担当に(笑)。
そこで、実家で扱う「更紗」の染め技法はインドがルーツだと知りました。
インドから日本に更紗が伝わるには相当な時間と道のりがかかってきたはず。
にも関わらず、それを作り続けてきたのが自分の父親だということを知り、
工房が新鮮に見えたんです。それが、19年ほど前のこと。
そこから変わりました。
今後の事業展開をお教えください。
2010年、2011年はスカーフの商品開発に注力したいと思います。

また、若い世代の育成には特に力をいれたい。染物屋は染める人材がすべてです。
今のギャラリーや工房のスタイルにしたのも、若い力・若い存在に力をいれるためでもある。
若手にとっては、自分の手がけた仕事が「どこで」「誰に」使われているのかわかったり、
お客さまから直接お褒めいただける環境を用意したりすることが
モチベーションUPにつながります。
もちろん、当社には先代の頃からいてくださる50〜70代の職人もおりますが、
ベテランにとっても大きな力になるはずです。

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