企業情報

オリジナル製品「発明屋」の取り組みで強力メーカーへ飛躍

会社名 株式会社三陽プレシジョン 
ホームページ ダイキャスト製品、アルミ、亜鉛、板金加工など-「株式会社三陽プレシジョン」

キッチン・雑貨・防犯・省エネ等、各種ジャンルのアイデア商品-「発明屋」 
住所 東京都品川区西品川1-10-2 
電話番号 03-3491-2811 
代表者名 小島裕司 
設立 1952年8月 
従業員数 30名 
事業内容 ◆試作金型 試作削りだし製品 金型
 プラスチック成型品
◆ダイキャスト製品の製造
◆自社オリジナル製品の開発「発明屋」…キッチン、防犯など各種アイデア製品の企画・製造・販売 
今後の事業展開
ビジョン
◆オリジナル開発製品をより広げ、日本のものづくりの発展に貢献したいと考えています。 
取引希望企業 ◆発明屋で扱うオリジナルメイドの製品を卸したい専門店、小売店さま
◆新たな発明の発想をお持ちの企画者さま 

代表取締役 小島裕司 

エージェントレポート
小島社長とお話していて感じることは、常に市場を勉強し、新しい企画を考え続け、そして社員と協力してくださる会社さまをとても大切にしていること。だから、自社でオリジナル製品の開発に携われたり、下請け仕事ではないオリジナリティあふれる仕事ができるんだと感じました。
下請けから脱して、製品力も価格力(デフレではなく、必要な原価を守ってできた製品という意味)もある製品を作ろうと考えのメーカーさまは必見です。


(取材者:石川 香苗子) 

経営者インタビュー

事業内容をお教えください。
もともとはダイキャストと呼ばれるアルミや亜鉛を使った製品を作っていたんです。
高速金型鋳造といって、ロボットを使って大量生産もしていました。
その中でプラスチック製品の金型も作っていたんですね。
昔は1個30円のものを30万個、100万個と大量に作っていた。
綺麗にして、加工して、プラスチックにして…と。
そんな事業で長年ものづくりをおこなってきました。
伝統的な事業から新しい事業を始めようと考えた理由は?
この不況で部品生産などは中国へ流れることも増えた。
当社は例えばintel社のペンティアムプロセッサー3や4のヒートシンクを作っていた。
世界一最高速で10倍ぐらい大きいダイキャストを作ってください
なんていう依頼も来ていたのですが、
高品質のものを高速で短時間に作ると値段が下がる。これは資本主義の原理です。
だから、大手の担当者に対しても
「そんなことしたら御社の商品、価格競争に揉まれて負けますよ!」としかることが多かった。
例えば、金沢に砂型鋳物で仏像を作っている会社があって、
見学に行ったことがあるのですがそこでは年間に3,000万円の仏像を1体しか作らない。
「なぜ2体作らないのですか?」と聞いたら
「1年に2体作れたら、1体の価値は1,500万円になってしまいます」と言われたんですね。
たくさんの数を作ったら、価値が下がって安くなる、価格競争も激化して価値が下がる。
それではダメだと思った。
そこで、さらに付加価値をつけるために「知的財産」を絡めて自社製品を作ること。
大手の製品ではなく、付加価値をつけた自社製品。
うまく製品化しなかったり、販売の軌道に乗らなかったりするケースもありますが、
発明したものにさらに発想を絡めて「再発明」したりと工夫して製品に磨きをかけています。
「再発明」というか、「グレードアップ」というようなものですね。
例えば「魔法の研ぎ機 アルミシャープナー」おちう商品には、本来のシャープナーにプラスして
オシャレケースやマグネットをつけるなどして、クオリティをあげる工夫をしています。
どのように販売先を開拓したのですか?
メディアに取り上げていただくことが大きかったですね。
「スーパーニュース」には2回続けて取り上げていただいたし
「トレンドたまご」や「花まるマーケット」「まちかど情報室」などでも
取り上げていただきました。
メディアをきっかけに、東急ハンズやLOFTなど専門店、デパート、通信販売、
TVショッピングと裾野が広がりました。
中でも「くしゃっと水きりザル」はかなり好評で
「これを置かせてください」といろんなお店でお取り扱いいただいています。

ただ、注意していることは「正規の値段で取り扱ってくれるところにだけ卸す」ということ。
量販店やディスカウント店には出さないようにしています。デフレをするのではなく、
必要なコストをきちんと理解してくれる店に置く。これを重視しています。
下請け仕事をしてしまうという企業が多い中、どうしたら自社オリジナル商品を軌道にのせられるのでしょうか。
なるべく日本の工場で生産していることでしょうか。
プラスチック、アルミ、亜鉛などは自社工場が得意ですからね。
当社にも近い大田区では、精密部品などを組み立てています。
公称10,000件ほど工場があったといいますが、私の感覚値では20,000件ぐらいかな。
それが今では4,000件ぐらいに減ってしまった。
人海戦術で数を積み上げるものは、どんどん海外に流れています。
中国で製造していたものを日本製にして技術・クオリティをかなりあげて販売しています。

ものづくりが生き残るためには、自分で何かの付加価値をつけて価値を高めねばならないと
考えています。
一生懸命温度管理、湿度管理、材料管理と細かいことを積み上げていくんです。
すると飛びぬける時がある。そこまで努力するんです。
発明屋事業も、実は15年前に一度トライして挫折したんです。
そのときは知的所有権のコントロールがうまくいかなくて。
要はデザイナーの方々と仕事をする感覚がわかっていなかったということ。
デザイナーの方々の意見を全部取り入れすぎて高くなりすぎたり…ということがよくあった。
その際、機能性、市場価格、売れている商品など勉強を積み重ねて2007年に
再度事業化することができました。
新商品の企画のヒケツをお教えください。
自分ひとりで考えるのではなく、共同で発想していることでしょうか。
発明の講師をしたり、当社でアイデアコンクールをして年間1500ほどのアイデアを
集めたりしています。また、発明仲間も大切にしています。
いろんな企画をずーっと考え続けていると、発明仲間がどんどん
増えていくんです。そんな方々と情報交換したり、いざ当社が商品化する際にはデザイン協力を
していただいたり、創造のヒントをもらったりと協力し合って製品化しています。
結果、年間10〜20商品を送り出しています。最近ではジャンルにとらわれず商品を出すようになり、
ひとつの商品でいくつもバリエーションを出すこともでき、幅が広がっています。
特許はアイデアをくれた発明家たちにお返しし、当社は純粋に販売利益だけで商売しています。
発明の源泉を持つ"発明家"たちの手助けをしながら商品を世に送り出しているといった形になります。

情報収集やアイデア考案の時間も細切れ時間をうまく使って捻出しています。
「これとこれを結びつけたらいいんではないか!」とより多くの時間を自分で考える時間にあてるように
しています。
思いつきで製品を作ってもダメなんです。市場にないものがあって、必要であれば必ず売れる。
これを知るために本を読んだり、人に話を聞いたり、情報収集していますね。
そして、発明を考える際は批判したらダメ。200でも300でもつまらなくてもいいから発明品を書いてみる。
つまらないものを書けなければいいものはできない。つまらないもの同士を結びつけた時に
いいものになるんです。で、そこから段々と製品にするために煮詰めていく。
ブレインストーミングから製品化する段階への分岐点がある。
品質を保つために自分で批判して批判して…という批判の分岐点です。
そこから先は製品化するための実現案にしていくのです。
これを繰り返すといい製品が生まれていくと考えています。

市場に流通させるためには小さい企業でも大手と同じクオリティを求められます。
だから、どんな技術が必要か、技術に対する課題は何か、物流がどんな仕組みになっているか、
人材をどのように活用したらいいかあらゆる視点から考えます。
いつも柔軟に耳を広げていることが大切だと思います。
今後の事業展開と日本の中小企業へのメッセージをお教えください。
今後も発明に力をいれていきたいと考えています。
入れ歯洗浄機やLED電球など、商品化のアイデアは山のようにあります。
発明屋の事業は2007年ぐらいからはじめた事業なのですが、
いまでは売り上げの6割を発明製品で占めるようになっています。
まぁ、このままいけば2011年には今の4倍ぐらいに勝手になってしまっていっているんでは
ないでしょうか。
新しい創造品で日本がいっぱいになればいい! と思っています。

だから、日本の中小企業には視点を変えることを大切にしてほしいと考えています。
きっと今後も転換点は来る。何回も転換点はあって、それを読んでいくしかない。
海外にものづくりを出してしまおう、という空洞化の時期。
だいぶ前になりますが、シンガポールの政府は国民の給料を下げて日本の1/2にした。
そしたら、シンガポール経済は復活した。
原価を下げてもデフレのままです。そうではなく、付加価値をつけて必要なものなら
みんなお金を出すんです。
例えば今なら、3D録画できるビデオができたらみな300万円でも買うかもしれませんよね。
そんな風に、いろんなアイデアを考える時間を持ち、視点を変えながら
日本のものづくりがよくなるように社会貢献していきたいと考えています。

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