企業情報

墨流し、江戸更紗、一珍…古来の多様な染めを受け継ぐ

会社名 染の高孝 
ホームページ 墨流し、江戸小紋、更紗など染物−「染の高孝」 
住所 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-9-1
*ギャラリー「座」では染め上がった様々な反物をご覧いただけます。 
電話番号 03-3368-7388 
代表者名 高橋 孝之 
設立 1974年 
従業員数 4人 
事業内容 墨流し染め、友禅、一珍染め 
今後の事業展開
ビジョン
◆若い世代にきもの文化を浸透させていきたいと考えています。
◆現代ファッションとの融合など新しい試みも手がけたいと考えています。 
取引希望企業 ◆呉服・きものの小売業者さま
◆染物体験をしたい学校関係者さま 

代表 高橋 孝之 

エージェントレポート
東京新宿・高田馬場。都内の中心地に染物の素敵な工房があることをはじめて知りました。取材者は学生時代によく過ごした街、高田馬場ですが伝統的で長い文化背景を持っていたと知りうれしく思いました。取材時には実際の工房や染めに使う型を拝見させていただきました。東京都発の伝統工芸。もっと若い世代にも広めたいと感じました。

(取材者:石川 香苗子) 

経営者インタビュー

染めといっても種類が多いかと思いますが、高橋さんが手がける染めの種類を教えてください。
当工房は染の工房の中では異端の部類に入るかもしれません。
「古法江戸染め」と呼び、江戸古来のさまざまな染技法を組み合わせて
クリエイティブな作品を産み出しているからです。
技法をひとつに絞らず、様々な染めに取り組んでいることは強みです。
引染、江戸更紗、墨流し、一珍染、江戸小紋、手描き友禅などを手がけています。
通常の染工房は更紗なら更紗、小紋なら小紋と特化して取り組むケースが多い。
ですが私どもは代々友禅を扱ってきたということ、
一反(約1km)を張れるだけの工房を持っているということから
様々な染に挑戦することができました。
特に一珍染め(一珍糊という糊を用いて絵を描き、その部分だけ染まらないようにする技法)の場合、
古い時代の材料をそのまま使って糊として使っています。
なぜこのように幅広い技法を習得したのですか?
今まで通りの技術では飽きられてしまうという危機感と
オイルショックの頃から業界の体質が変わったことがきっかけです。
戦前〜オイルショックまでは、問屋が我々に仕事を出しその手間賃で商売していました。
オイルショック後、問屋からの仕入れの仕事が激減したのです。
そこで、自主生産して自ら小売しなきゃならない、自ら小売業者さんを探さねばならない
となった時、自分で創作の幅を広げる必要性を感じたのです。

今では工房展、作家展、作家協会などに出品して賞をいただくことも。
自分のレベルを確かめながら腕を磨いています。
個人的には2009年に作家協会で市長賞をいただきました。
今では私の実弟が型染め、本田早苗という女流作家が手描き、
私は全てのコーディネートと手描きのシマを行っています。
弟子も二人おりますし、若い世代に受けついでいけることは喜びです。

ものづくりの喜びは、できあがった時に思ったようにできるかということ、
つまりできあがった時の楽しさが8割、そして着ている人と出会える喜びが2割。
ものづくりの喜びは大きいですよ。
貴社の染めはどのようなところに卸しているのですか?
専門呉服店、三越本店などの百貨店さんなど小売店に卸し、きものとして使われています。
価格帯が数万〜数十万するものまであります。

染めた反物は、基本的にきものに使われます。
一反の大きな布からきものの全てのパーツが作られます。
ですから、染める際に、この部分は袖、この部分は身頃…と
考えながら染める必要があります。
その分、私どもでは様々な技法を扱っているので、袖部分と身頃部分で染め方を変える
こともできます。
若い世代には珍しいですよね。
そうですね。
お客さまとしてはやはり、60代後半〜70代後半の方々が中心。
この世代の方々が日本のきもの文化を支えていると言えるでしょう。
戦中、生活が厳しかった時代にきものへ憧れていた世代ですから。
しかし、戦後ベビーブーム世代には思ったほどきものが浸透していません。
例えば今は結婚式でも仲人さんをたてないケースがほとんどですから、
留袖(既婚女性が着る格式高いきもの)の需要も減りました。
幼稚園の入園式・卒園式などで和服の訪問着を着ている奥さまもみかけません。
30〜40代では古着ファッションとして、新しい捉え方できものを
見てくれているかもしれません。

最近では、小学生が修学旅行や卒業旅行で墨流し体験に来るケースも増えてきました。
卒業旅行で墨流し体験をしたいというので5〜6人の小学生を受け付けたら
次の年も来てくれるように。
このようなケースを増やしたいですね。
今後の事業展開をお教えください。
縮小してゆくきもの業界の中、若い世代へもっと染めの世界を広めたいですね。
小学生が体験しにきてくれたように、きものの世界を若い人にも楽しんでほしい。

一時期は2兆円産業とも言われたきもの業界ですが、今は3,000億円にまでシュリンク
している。
ここ、新宿・高田馬場や落合は妙正寺川と神田川が合流し、水が豊富な場所。
ですから江戸時代から数多くの染物業者が集まりました。
私どもも、この地にギャラリー「座」を設けたのは
「染物の地、新宿にもっと来てほしい」という想いもあります。
より多くの人にきもの文化を楽しんでほしいですね。

また、きものに捉われず新進のファッションデザイナーとコラボレーションして
ファッションショーに出ることも。新しい試みにも挑戦していきたいですね。

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