税務調査時の留意点

読者の方の中で、税務調査を受けられた方はどの位いらっしゃるでしょうか?


税務署からの連絡があると、後ろめたいことなどなくても、何となくそわそわするものです。しかし、恐れる必要はありません。しっかりと準備をして、堂々と調査を迎えましょう。


1.事前準備


通常、税務調査は、電話等での連絡があってから、数週間後に行われます。そのため、調査日までに、準備を行うことが可能です。


(1)論点整理


何年か事業を行っていれば、一つや二つくらい、不安な事項があるのは当たり前です。また、会計的に正しい処理をしていれば、税務的にも正しい処理になるとは限らないことから、思わぬところで修正申告を余儀なくされるような事態にもなりかねません。


税務というものは、あいまいな部分が結構あり、税法等の条文解釈については、学説が分かれていたりします。つまり、一つの事象に対して、画一的な結論になるとは限らないわけです。


税理士としても、事前に理論武装している場合とそうでない場合とでは、調査当日の対応に相当の違いが出てきます。調査官も人間ですから、会社側の抗弁の強さ(理屈が通っているかどうか)によって、判断に違いを生じることもあります。


不安のある事項については、顧問税理士に事前に相談し、対策を講じてもらうようにしましょう。


(2)証憑書類


税務調査では、税務処理の妥当性に係る判断の根拠として、請求書や契約書、株主総会議事録などの証憑書類の提出を求められることが多くあります。


請求書や受領書等の外部証憑はともかく、株主総会議事録や取締役会議事録、規程類などの内部証憑は、つい整備を怠りがちになります。


税務調査において、証憑書類が示せないばかりに、不利な判断を下されることもありますので、日ごろから証憑を整備しておくことが必要ですし、調査予告日時点で整備未了の場合であっても、可能なものについては、調査実施日までに補完しておくことが重要です。


2.顧問税理士の立会


最近の税務署員は基本的に丁寧ですが、中には問題のある人もいて、税理士の立会がないと、相手の税務知識が乏しいことを良いことに、多少疑義のある事柄でも、高圧的な態度でもって、強引に税金を取りに来るというようなこともあるようです。


顧問税理士がいる会社は、ぜひ立ち会ってもらうようにしましょう。通常、日当を請求されますが、それをけちったばかりに、払わなくても済んだかも知れない税金を払うのは、本末転倒と言えるでしょう。


 


3.当日の対応


十分に事前準備をしたつもりでも、想定外の指摘を受けてしまうこともあります。その場合でも、その場を取り繕うような回答や感情的な対応をすることは禁物です。


前述のように、調査官も人間ですので、不快に感じれば理性的な判断をしなくなる可能性もありますし、また、理解できない事柄は、疑ってかかるのも人間ですので、その場しのぎの回答をして、後でつじつまが合わなくなるのは最悪の事態といえるでしょう。


そんな時は、一旦宿題にしてもらい、後日、落ち着いた状態で回答するようにしましょう。


 

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