年度末の節税対策

はじめまして。日本橋で税理士法人を運営している公認会計士・税理士の町井と申します。


この場をお借りして、税務、会計、経営管理手法など、経営者の皆様のお役に立つ情報を発信して参りたいと思いますので、以後よろしくお願い致します。


さて、12月も半ばとなり、個人事業主の方や12月決算会社の経営者の方にとっては、頭の痛い時期かと思われます。この環境下、利益を上げられた企業経営者の方は立派といえますが、ここで勢いに水を差すのが税金です。


利益に課される税金は、主として所得税(法人税)、住民税、事業税があげられますが、法人の場合で実効税率(事業税の損金算入効果を考慮した上記の合計税率)は約40%にもなります(個人事業の場合は所得によって異なりますが、法人より高くなることもあります。)。できるだけ節税したいと考えるのは人情ですし、合法的である限り、積極的に節税を行うことは、経営努力の一環と思われます。


そこで今回は、代表的な節税対策をいくつかご紹介します。

但し、一発で多額の節税になるようなウルトラCはありません。節税とは、小さな対策を幾つも積み上げて、トータルでの効果を狙うものとご理解ください。100万円の節税対策も、10件組み合わせれば、トータルで1,000万円の節税になります。

 


1.期末賞与の支給


当期の利益計上が見込まれる場合に、従業員に対して賞与を支給してしまう方法です。これによると、節税額以上に費用が増加してしまうことになりますが、それによって従業員の士気が上がるのであれば、単に税金を納めるよりはましと考えることもできます。

また、利益の出た期に決算賞与を支給しておけば、利益の出ない期には、通常の賞与を減額しても、従業員の不満は少なくなるでしょう(但し、従業員への説明は十分に行っておく必要があります。)。




決算賞与の支給が税務上も損金として認められるためには、(1)損金計上年度内における各人への支給額の明示と(2)損金計上年度の終了日から1ヶ月以内の支給という要件を満たす必要があります。

また、役員への決算賞与の支給は損金算入不可となりますので、注意が必要です。

 


2.不要資産の処分


長期に亘る停滞在庫や、流行ものの売れ残り等、もはや売れる見込みのほとんどない在庫や、使用見込のなくなった固定資産などを処分します。

まだ使えそうなものを処分することは、何となくもったいないような気がしますが、税務上、未処分の資産を損金処理することの要件は厳しく設定されています。思い切って処分すれば、処分資産の帳簿価額相当の損金が発生しますので、その分だけ節税効果が生じることになります。

不良在庫、遊休資産の保管コストや管理コストもばかになりませんので、利益の出そうな期に処分してしまいましょう。


3.未回収売掛金の損金処理


長く経営していれば、未回収の売掛金も溜まってくるでしょう。こうした売掛金を、利益の出そうな期に損金処理してしまう方法です。売掛金の損金処理についても、未処分資産の損金処理同様、税務上の要件は厳しく設定されていますが、丁寧に要件を整えれば、ほとんどの未回収売掛金は損金として処理することが可能です。

 


4.消耗資産の一括購入


1件当たり10万円未満の資産は、税務上、購入時に損金として経理することができます。また、資本金1億円以下の法人にあっては、一定の要件の下で、1件当たり30万円未満の資産を購入時に損金として経理することが認められています(平成24年3月31日までの取得分)。

いずれは使用する見込みであるような資産については、利益の出そうな期にまとめ買いしておくことも一案です。


 

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